コラム

【補助金の落とし穴(2/3)】Amazonでポチッたら大変!

  • 2020年7月9日
公的資金適正運用支援協会(kenkyuhi.jp) 代表理事の蒲池光久氏。東海大学在職中に産官学連携および外部研究費の管理体制の確立に尽力。その経験に基づき研究費適正運用と事務支援を目的に同協会を設立。2019年4月より現職。

前回「開発は外注できない!」から続く

―― 「業者選定理由書」はキックバック(発注者が特定業者に与えた利益の一部を、発注者に払わせること)を抑止する文書ですよね。購買の一般原則QCD(Quality、Cost、Delivery)を示せばOKですか?

蒲池氏:必ずしもそうではありません。以下に書式を示しました。「4.研究及び物品の概要等」の表はまさに一般原則の通りです。

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○年○月○日
業者・物品選定理由書
株式会社○○○○
開発部長 ○○○○

1.選定品名:X
2.選定品メーカー:A社
3.選定品のサプライヤー:A社の販売代理店、B社
4.研究及び物品の概要等:案件○○向け部品○○の第2回試作にXを○○kg用いる。

  X 類似品Y 類似品Z
機能 ○、□、△ ○、□、△
○の仕様値 20 10 20
価格 5万円 2万円 5万円
納期 1カ月 3カ月 5カ月

5.業者選定理由及び価格の妥当性:○○○○○○○○○○○○○○○○

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蒲池氏:ただし「5.業者選定理由及び価格の妥当性」は違います。これは「買い慣れているAmazon.co.jpがほかよりだいたい安いから」「ウチにいつも納入していてボッタクられたことがないから」といった、ぼんやりした購買における補助金充当を、明確に拒絶するものです。そして、相見積もり(複数サプライヤーから見積書をもらうこと)を要求するものです。

―― 選定品のサプライヤーが複数いるのに相見積もりを忘れたら、もう補助金を経費に充てられないのですか?

蒲池氏:そうとは限りません。例えば、既有品のサプライヤー以外から買うと、既有品を使いにくくなったり、技術やノウハウが流出しやすくなったりする場合は、そうした状況を具体的に記せば、相見積もりは必須でありません。

―― では選定品の販売代理店が1社しかないなら、サクッと買って補助金を使えるんですよね?

蒲池氏:そうであれば、そのサプライヤーが独占販売権を持つことを証明しなければなりません。それを示した文書の写しを、まず提出してもらいしょう。さらに、選定品が研究開発に必要不可欠かつ代替できないことを「5.業者選定理由及び価格の妥当性」に記述します。データの連続性を確保するため、あるいは既に用いている機器などと互換性を確保するため、といった観点で書いてください。

―― 価格の妥当性はどう記すべきでしょう?

蒲池氏:案件の目的に沿った最もリーズナブルな選定品であることを説明してください。併せてその購入先が最もリーズナブルであることも示してください。比較対象は、購入実績のある同等品や類似品、選定品のカタログ定価などです。ソフトウエアの検証といったサービスを受ける場合は、類似案件の見積書から工数やその単価を引用して比較してください。(続く)