修了生の紹介/ディスカバーブルー
特定非営利活動法人ディスカバーブルー
代表理事 水井 涼太さん(18期)
海に関する総合的な環境教育を推進するソーシャルベンチャー ディスカバーブルーの水井代表を横浜国立大学に訪ねました。
水井代表は2009年に18期生としてKSPビジネススクールを受講。当時、博士課程修了後に横浜国立大学ベンチャービジネスラボラトリーの研究員として海洋環境に関する研究を行っていました。
スクール修了の2年後にNPO法人ディスカバーブルーを神奈川県二宮町に設立。現在は5名の体制で組織を運営しており、近隣の真鶴町立貝類博物館と共に、自然観察教室や自治体職員向けの海洋環境教育講座を運営しています。今後は真鶴町で蓄積したノウハウをパッケージ化し、自治体に対してのコンサルティングサービスを計画中とのこと。
また、水井代表は横浜国立大学 統合的海洋教育・研究センターの講師を兼務し、大学の立場で海洋環境に関するシンポジウムの企画運営なども行っています。
知ってるようで知らない海のこと
そもそも日本は海に囲まれているにも関わらず、海に関する学問も環境、生物、工学などさまざまな分野に分断されており、トータルとして海について環境や生態系などに関する知識を得る機会は限定的といえます。
海洋管理は主に自治体が担うところですが、大規模な市などでは港湾局などインフラ関連の部署が担当するが、環境汚染、生態系に関しては限定的な知識が多く、また、小規模の自治体であれば管理も活用も行き届いていない場合が多く、ディスカバーブルーでは総合的な知識を提供し、美しい海洋環境を後世に残す活動を目指しています。
最近では海をテーマにしたニュービジネスに関するシンポジウムなども企画開催している。例えば港湾インフラ・海運、食品・漁業、観光・スポーツなどが主な事業領域になりますが、実際には複雑な権益が絡み合っており、民間企業が新規参入するには非常に難解なマーケットですが、そういった新事業の水先案内人も引き受けるといいます。
海に漂う“見えないゴミ”
最近では、スクラブ洗顔材、歯磨き粉、化学繊維などから流出する5mm以下の小さなマイクロプラスチックが環境問題としてクローズアップされつつあります。最近はNHKでも特集番組が組まれ、海洋環境に対するインパクトの大きさを伝えています。
アジアの途上国では年間数百万トンの樹脂が海に投棄されており、日本近海にも多くの樹脂マクロビーズが存在します。ビーズが有害物質を吸着し魚や貝に蓄積することで、人体への影響も今後問題になってくる可能性があるといいます。
海に限らず環境に配慮した循環型社会への転換が迫られていますが、水井氏は民間企業にはない視点で海の環境問題に関する啓蒙を続けていくとのことでした。