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アップコン株式会社 
代表取締役社長  松藤展和 氏

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 ウレタンで「ニッポン上げろ!」  
 沈下修正の独自工法で社会貢献 
 アップコン株式会社  
 代表取締役社長   
 松藤 展和 氏    

地震や地盤沈下などにより、傾き、段差、空洞や空隙などが生じた工場・倉庫・店舗や住宅などを、ウレタン樹脂の発泡圧力を活用し、短工期で修正する「アップコン工法」による施工を全国展開。

そのユニークな工法と社会的なニーズがマッチして業績は堅調に推移し、2021年7月には東京証券取引所 TOKYO PRO Marketへの上場を果たした。

そこに至るまでの歩み、人財育成へのこだわり、さらにはウレタンという素材の幅広い活用を見据えた今後の経営戦略など、創業社長の松藤展和氏に訊いた。

社会的に意義のある事業と起業を決意

貴社が手がける「アップコン工法」について教えてください。

例えば工場などのコンクリート床に沈下や段差が生じ、修正しなければならなくなった場合、操業を止めて一時的に移転し、荷物や機械を撤去したのち、既設の床を壊して補修工事を行うという段階を経る必要があります。

それに対し当社のアップコン工法は、床に穴をあけ、そこからコンクリート床下にウレタン樹脂を注入。その発泡圧力でコンクリートを押し上げ、床の高さが均一になったことを確認した後、穴を塞げば工事が完了します。床を壊すことなく、短時間で操業を止めずに修正ができるので、時間的なロスや作業的な負担を大幅に軽減できるというメリットがあります。

この技術自体は1970年代に発祥して、現在は欧米、 オーストラリアなどで実用されています。私は以前暮らしていたオーストラリアでウレタン樹脂を使用した沈下修正工法に出会い、社会的に意義のある事業だということで、最初はその技術を日本で展開する、外資の日本法人をスタートさせました。


それが起業のきっかけになったわけですね。

その後、欧米のものとは違う材料や機械を使用し、工法を研究、アップコン工法を開発し、2003年に元々馴染みがあった川崎市のKSP内に会社を設立するべく準備を始めました。

KSPの入居に際しては2度のプレゼンテーションがあったのですが、専門分野のご担当者さんにかなり細かな部分までインタビュ-されたことを覚えています。でもそれが良い経験となり、その後プレゼンテーションをする際の度胸がつきました(笑)。また立ち上げ当時は企業としての知名度や信用が低いものですが、KSPに入居しているという事実がそれを補うステイタスになったと思います。KSPを拠点としたことは、歩み始めたばかりの当社にとって、大きなアドバンテージでしたね。

実はその時、すでにあるお客様からの工事を受注していました。ただ会社はまだ人材もおらず、機械や材料もないという、とても大変な状況。それでもお客様からは「工事の開始が遅れたとしても、従来の方法よりも大幅に工期を削減できるのであれば問題ない」と言っていただき、現場で必死に取り組んだことを覚えています。

おかげでその年の9月から始まった工事は約100日間で終了。半年から1年はかかると覚悟していたお客様に大変喜んでもらい、今でもお取引を続けてもらう良い関係が続いています。

工法そのものではなく、積み上げた知識と技術が財産

アップコン工法で様々な特許を取得。

最初の特許申請では、KSPの中にある 財団法人神奈川科学技術アカデミー(現 公益財団法人神奈川県産業技術総合研究所)のサポートを受けました。
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優れた工法がゆえに、他社に模倣されるという危機感を抱いたことはありませんか?

創業したときから、いずれは追従してくる会社があるだろうという感覚はありました。しかし、営業的な専門知識や、これまで積み上げてきた技術的なノウハウは、一朝一夕で築けるものではない。そこは誰も真似ができないだろうという自信はあります。

環境に配慮したノンフロンの材料やそれぞれの現場で必要な材料量の計算方法は、私が少しずつ確立してきたデータですし、ウレタンの注入技術も最初は私しか持っていなかったものを、徐々に社員に伝承して広げていったものです。工法そのものではなく、年月をかけて少しずつ積み上げたデータやノウハウが確立されていることが当社の財産なのです。

またそれがしっかり社員の中で受け継がれていることは、貴社の大きな強みですね。

新卒で入社してきた社員が一人前になるまで、3、4年はかかります。その間、ほぼマンツーマンの研修・OJTを通じて様々な技術を学んでいきます。教える側は自分が先輩から教えてもらったことを後輩に丁寧に伝え、教えてもらう側は感謝の気持ちを持ってそれを受け継ぐ。その教育方法と、社員同士の円滑なコミュニケーションがとれていることが大切な要素だと思っています。

まさに “LIKE A PROFESSIONAL SPORTS TEAM”(プロスポーツチームのように)という貴社の世界観を体現するような、チームワークが自慢ということですね。

当社は全国に事業展開していますが、事務的な拠点はあるものの、いわゆる「支店」を配置していません。各地の現場には川崎から機材をトラックで運搬し、本社のスタッフが出向いて作業を行なっています。

それはコストや効率を考えるとデメリットになるかもしれませんが、人材を一箇所に集中させることで生まれる、日々の社員同士のポジティブな交流が、それ以上のメリットになると考えているのです。会社独自のノウハウを外部から守るのではなく、誰も真似できないレベルにまでみんなでブラッシュアップしながら、社内で広めていくことこそが大切なのではと思っています。

従業員と地域を大切にする姿勢

貴社の基本理念である「健康第一」「安全第一」「家庭第一」には、そんな社長の社員を大切に思う気持ちが現れています。

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これは会社設立以前から、私が理念として掲げてきた言葉で、いずれ「時代と合わなくなったら変えようかな」なんて思っていたのですが(笑)、働き方改革や健康経営が叫ばれている今、時代がその言葉に近づいてきている印象さえあります。

当社では残業はほぼありませんし(昨年の一人あたりの月間平均残業時間は6.3時間)、健康経営の実践では昨年はランニング、今年はウォーキングと毎年テーマを決めて、楽しみながら社員全体で取り組み、2017年から5回連続で経済産業省の「健康経営優良法人(ブライト500)」として認定されています。

日本人にありがちな「仕事のために自分や家族を犠牲にする」という考えは、私は違うと思いますし、ましてやチームを組んで現場で施工するという私たちのような会社では、社員の心身の健康が最も大切なことであると考えています。

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社員への愛情とともに、地域や社会に対しても貢献したいという想いも強いですね。

実は私自身、1歳の頃から川崎市で育ってきましたので、地域への愛着はあります。川崎を代表するプロスポーツクラブである川崎フロンターレとは、一緒に成長していきたいという想いで2014年からオフィシャルスポンサーとしてサポートさせていただいております。
また川崎市生涯福祉施設事業協会を通じ、3つの社会福祉施設にお仕事を提供することで、身障者の方々の支援を続けています。

ただ一番の地域貢献は、会社の業績を伸ばして、たくさんの税金を納めること。それを目指して、頑張っていきたいと思います。

ウレタンの新たな価値を追求したい

社長が描いている今後の事業の見通しをお聞かせください。

地震が多い日本では、この事業の潜在的なマーケットが眠っていると考えています。コンクリート床が沈下していることに気づいていながら、「直すのは大変だから」と我慢してしまっている工場や住宅は多いのではないでしょうか。そんなターゲットにアップコン工法の素晴らしさをアピールしていけば、成長の伸び代はまだあると思います。

ただし一方で、「アップコン工法の施工会社」にとどまるつもりはなく、今後はウレタンという素材を活用した、新たな市場を作っていきたいとも考えています。そのために、大学や企業との共同研究を進め、ウレタンの新しい価値を創造し、「アップコンは、ウレタンで○○する会社です」というようなキャパシティを広げていきたいなと思います。

創業から18年で上場という一つのステージにたどり着いた貴社から、今後起業を目指す方々にメッセージをいただけますか。

企業経営は挑戦の連続。時にはうまくいかないこともあります。私たちもリーマンショックの後には仕事がなくなり、大きな危機に直面したことがありました。

そんな時、何を考えたかというと「今こそ原点に立ち返ろう」ということ。苦しいからといって品質を下げるようなコスト削減をするのではなく、むしろコストが上がってでも施工の品質を高めて、お客様の信頼を得ようと努力しました。その適切な判断があってこそ、今の私たちがあるのだと思います。

もし失敗しても、それは絶望ではない。一旦ステップバックして再度挑戦すればいい。自分たちが目指すものはどこなのかを忘れずに、正しい道を追求することが大切なのではないでしょうか。



松藤 展和 / Nobukazu Matsudo

アップコン株式会社

代表取締役社長


1985年 武蔵工業大学(現 東京都市大学)建築学科卒業、1988年 プラット・インスティテュート大学院(ニューヨーク)インテリアデザイン学科卒業。1989年 オーストラリア・シドニーの大手建築設計事務所に勤務し、日本担当部長として新規事業開拓を手がける。1998年 設計施工一貫請負の会社をシドニーに設立。そこで特殊樹脂を使用する地盤沈下修正工法を知り、工法を習得する。
2001年 同工法を用いた外資系土木会社の日本法人を設立し、代表として九州で事業を展開。その後独自に研究を重ね、ノンフロン材を用いた小型機械による新工法「アップコン」を開発。2003年アップコン有限会社(現 アップコン株式会社)を設立。


アップコン株式会社 ウェブサイト http://www.upcon.co.jp/



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