修了生の紹介(NO.4 コミー)

コミー株式会社 取締役 小宮山 哲さん(16期)

 

 

銀行ATMや飛行機の手荷物入れの中に貼られている小さな鏡「FFミラー」をご存じだろうか。

今や世界中で飛んでいる飛行機の多くの手荷物入れに標準品として採用されている。実はこの鏡を開発、製造、販売しているが西川口にある従業員31名の中小企業「コミー」である。今回は同社の後継者であるコミーの小宮山哲氏を西川口の本社に訪ねた。

小宮山氏は2007年に16期生としてKSPビジネススクールを受講。当時もコミーの社員として、営業、経営管理、製造など幅広い業務に携わっていた。

 

鏡単品でグローバル展開

FFミラーと呼ばれる死角を防止する樹脂製の鏡が主力製品で、これを世の中の様々な用途に対して提案している。販売先の業界は、工場、オフィスビル、コンビニ、航空機などになり、売上の7割が航空機、3割がコンビニなどの店舗が占める。

国内コンビニのミラーに関しては市場シェア8割を占めることからも、いかに特定用途で強い競争力を持っているのかがわかる。また、海外販売比率が55%とグローバル企業と言っていいレベルにある。

一見すると営業するのが難しそうに思えるのだが、ニッチな用途に絞り時間をかけて顧客が納得するまで試用してもらい、標準品としてスペックインさせることに注力しているという。顧客へのコンタクトから毎月の売上が発生するまでは数年かかるが、日々の営業を最小化しても継続的に受注できることになる。航空機分野についてはボーイング、エアバスといった主要メーカーに既に標準品として採用されている。

 

物語を作る会社

コミーの創業者である小宮山栄社長(哲氏の父)は、その独自の経営哲学で多くのメディアに取り上げられるほか、独自の顧問団を組織し、大企業にも負けない専門知識や人脈を保有している。

日経トップリーダーに掲載された記事をまとめた書籍「なぜ、社員10人でも分かり合えないのか」には、中小企業における「主(ぬし)化」について書かれている。自分自身も思い当たるフシが多く、多くの方に読んで頂きたいのであえて一部転載する。

「中小企業は大企業よりも、お互いを理解しやすいというのは危険な思い込みです。むしろ、中小企業ほど注意が必要でしょう。社員が少ない分、特定の仕事を一人の社員が丸抱えするからです。特に経験が長くて記憶力もいい人はどんどん専門性を身に付けて、その分野の『ヌシ』になってしまう」

「ヌシは新しい勉強をしたがらないものです。だからヌシの個人力に頼りきりの組織は弱い。特定のひとにしかわからないことを社内から極力排除し、誰でも仕事ができる仕組みにしてしまえば、仕事が日々改善できます。社員間のコミュニケーション密度も高まり、少人数でも組織力がぐんと高まります。そういう仕組みにしていれば、必要に応じてその仕事を外部の人に任せることもできますが、ヌシがいるとそうした柔軟性も失われます」

 

開発部を新設

現在、コミーでは様々な業界の大企業で勤務していた若手技術者を採用している。さらに魅力的な製品を生み出すために、今までのにない特徴をもった鏡の開発に日夜取り組んでいる。現在、本社から車で5分のところに新しい開発センターを整備中。

組織をいたずらに大きくせず、一つの分野にこだわり、高収益企業として安定的に成長していく、まさに成熟化社会で生き残っていく中小企業の典型のような会社である。今後、哲氏には創業者が率先して育てた企業文化を継承しながら、若手取締役とともに新生コミーを経営していく日が訪れる日も近いだろう。

 

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