修了生の紹介(NO.3 大和生物研究所)

株式会社大和生物研究所 代表取締役

一般財団法人蓼科笹類植物園 理事長 大泉高明さん(1期)

株式会社大和生物研究所 大泉梓さん(21期)

1968年に設立されたクマ笹を原料とする老舗医薬品メーカーの株式会社大和生物研究所に大泉親子を訪問した。大和生物研究所は、かながわサイエンスパーク(KSP)のオープンと同時に事業本社を移転、以来28年に渡りKSPを本部とし事業を行っている。

大泉社長は1992年に1期生としてKSP新事業マネジメントスクールを受講。翌1993年に創業者である父大泉和也氏の急逝のため代表取締役に就任。当時は専務としてすでに会社の経営の大部分を自身で行っていたため、大きな変化は無く事業承継ができたという。

父の受講からちょうど20年後の2012年に、娘である大泉梓氏が21期生としてKSPビジネスイノベーションスクールを受講。現在は将来の経営者としての修業期間として経営管理、営業、製造など社内の各部署で実務経験を積む日々を送っている。

ちなみに親子2代でのスクール受講は3社目となる。

 

クマ笹一筋 50年

クマ笹抽出成分由来の医薬品「ササヘルス」は既に市場で一定の認知度を得ており、大泉社長が流通組織である「緑健会」の拡大、育成を行ってきた。

緑健会は、全国1100店の薬局・薬店からなる組織であり、一定の年会費を徴収し、薬局向けセミナー、イベントへの参加、商圏の保障をする代わりに、薬局には一定額の販売を義務付けるといった互恵関係を基盤とした組織である。

現在はドラッグストアの台頭、薬局店主の高齢化などからユーザーとの直接コミュニケーションも深める戦略に変更しつつある。クマ笹抽出液のみであった商品に関しても、食品(飴、塩)、化粧品・雑貨(石鹸、保湿ジェル、歯磨き)など、様々な笹由来の製品を開発し、自社ECサイトを通じた販売を手掛けるに至っている。こういった新事業に関しては大泉梓さんが主に担当している。

 

蓼科笹類植物園「笹離宮」

そんな中、2014年に長野県蓼科の工場隣接地に、一般財団法人蓼科笹類植物園「笹離宮」をオープンさせた。現在、大泉高明氏は財団の理事長を兼務し、1週間のうち多くは蓼科で過ごしているという。今回、なぜ民間企業が植物園をやることになったのか、笹離宮オープンまでの経緯、苦労などをお聞きした。

当初は明確な利用目的がない中、蓼科工場の隣接地を取得。その後、土地の利用方法について様々な人に相談をしたところ、国内最大の笹コレクションをもつ静岡の富士竹類植物園のコレクションを移植したいという話が持ちかけられる。120種のコレクションには現在、絶滅の恐れのある種も含まれており、竹笹のコレクションとしては非常に貴重なものとなっている。

また、庭園エリアには数寄屋造りの茶棟や日本庭園を配置しているが、それらの建立には伝統建築家として有名な (桂離宮の大改修、国宝・重文の移築・修復・再建等で有名)な安井清氏を中心とした「清塾(せいじゅく)」が、長期間にわたり手弁当で協力してている。

伝統の技を受け継ぐ職人も、現存するわずかな建物の修復が主になっており、一から新しいものを創造する機会がほとんど無いのが現実。そんな中、最高の材料を使い、最高の技術を持つ職人が、好きなように腕を振るうプロジェクトとして「予算なし、工期なし」が実現し、構想2年、工事8年の歳月をかけ2014年に完成、グランドオープンを迎えた。

 

様々な業界で一流と言われる人が損得抜きで協力し、施主である大泉社長が現場に口を出すことなく、その道のプロに任せるといった姿勢を一貫して貫いていること。

植物園という現業への直接的な貢献がイメージできないプロジェクトだが、笹離宮を訪問した見学者が口コミで知人に紹介するなど、「笹離宮」を通じて本物を追求する企業姿勢が会社のブランドを徐々に強化しつつあること。

また、従業員が笹離宮に対する外部からの評価の高さに触れ、自社の誇りと思えるようになりつつあることなど、一見すると非効率、情緒的とも思えるこのプロジェクトが、時間を経て会社経営に対して想定以上の高い効果を上げつつあるように思える。

一連の経緯をお聞きする中で、協力者の巻き込み、徹底した現場主義、権限移譲など、「笹離宮」のプロジェクトには新事業、起業にも通じるエッセンスが多分に含まれているのを感じた。

 

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